私が携わってきた任意整理業務の中で、
過払い金交渉から訴訟まで、支払い交渉、時効援用手続きをした依頼者がいました。
どのように任意整理を進めていったのか一例としてご紹介します。
相談から契約へ。
いらっしゃった相談の方は50代の男性の方。
聞き取った当初は、債権者は消費者金融や銀行カードローンで、5社250万円程度の債務でした。
ずっと支払っていない債務もあるとのことで、
時効の可能性もあるので任意整理で受任契約をしました。
受任契約後、当日のうちに各債権者へ受任通知を送り、債権調査票の返信を待つことにしました。
債権調査、引き直し計算を経て判明した債権額
大体1ヶ月半ほどで各債権者から債権調査票と取引履歴の明細が送られてきます。
※ちなみに早いところは1週間、遅いところは2ヶ月くらい待ちます。
返信がないときは催促の電話を入れたりします。
依頼者の方の5社すべての債権調査票がそろい、取引履歴にそって引き直し計算をしました。
すると結果は、
1社(消費者金融)で過払い金が40万円ほど。
1社は銀行系カードローンでそのまま100万円程度の支払額。
残り3社は5年以上借入も支払いもしていないため、時効債務。
という結果となりました。
早速過払い交渉開始!!
まずは過払いが出た業者に過払い金返還交渉の書面を送付。
返答期限は2週間後。
過払い金交渉が減ったとはいえ、相手も人件費削減などで手が回らなさそうなご様子。
大体2週間ほどで返答がきます。
今回は請求額40万に対し、半額程度の提示。
近年は金額が低ければ早めの返還日が組まれますが、
金額を上げて交渉すると大体返還日が伸びますが、満額回答はなかなかないです。
依頼者に相談し、金額に妥協したくないという意向のもと、
過払い金返還訴訟(不当利得返還訴訟)を裁判所へ申し立てることにしました。
訴訟になると、大体任意交渉より多い金額で返還がされます。
※期間に争いがあったり、弁護士介入前に債権者と任意で和解してたりするなど、ケースによって変わりますので、そこは弁護士に相談してみてください。
ただし、デメリットとしてとにかく時間がかかります!!
基本的に裁判は、申し立てた後から第一回の裁判期日まで、一か月以上は普通にかかります。
裁判所の夏休み期間や、年末年始、年度末など忙しい時期にかかると余計に次回の裁判期日まで時間がかかります。
そして、一回ではなかなか終わりません。
一回目の裁判期日が終わると、また来月以降に次回の裁判期日が決められます。
そうこうしているうちに半年以上は期間が経過してしまいます…。
そこまで待てない!という方は、金額に妥協しつつ任意で支払ってもらうことになります。
要は、自分が今すぐ費用が必要か、待つことができるのか、
そこは依頼者の判断にゆだねられます。自身でどうしたいのか判断しましょう。
今回のケースでは、判決までいき、遅延損害金も含めた金額で満額支払われることになりました。
過払い交渉と同時進行で時効援用通知の発送
今回は、3社の債権者ついて、
5年以上支払いも借入もせず、
債務名義(裁判上で支払い義務があると判決などが出ていること)もなかったことから、
時効債務にかかると判断し、時効援用通知を内容証明郵便にて発送しました。
その後、数週間待ったのち、特に債権者から連絡もなかったので、
一度債権者に電話連絡し、時効援用の処理がなされているか?
この時効援用通知に対抗できる債務名義などはあるのか確認しました。
3社とも債務名義もなく、時効にて処理をしていると返答があったので、
この3社の債務についてはゼロとなりました。
ちなみに、時効援用通知を送った後に確認の電話を入れても、はっきり答えてくれない債権者もたまにいます。
こちらとしては確証がないからちょっと困るんですよね…。
支払い交渉を始める
時効援用の手続きができたことで、残りの債務は1社100万円ほどになりました。
受任通知を送って返済がいったん止まり、
今までの返済分を貯めたり、家計の立て直しをした結果、
毎月2万5千円くらいなら無理なく支払っていけることになったとのこと。
なので、その金額で債権者に支払い交渉をしました。
※できれば3年間36回払いが交渉しやすいのですが…。
無事にこちらの要望通り40回払いで支払っていくことで債権者と和解ができました。
ただ、銀行系カードローンで、もともと利息制限法内の貸し付けであることもあり、
減額交渉はできず、和解日までの利息も付いた状態での和解となりました。
※ちなみに過払い金の額が、支払額と弁護士費用含めても上回る場合などは、
過払い金が返還された時点で支払い分を一括返済などもしてきましたが、
ここ最近は過払い金の額も少額になったので、ほとんどしなくなりました。
支払い和解終了、過払い金清算、これにて事件終了
以上にて、任意整理の交渉業務は終了となり、
①支払いの和解をしたものに関しては、返済表を作成して和解書とともに今後の支払いについて説明をします。
②時効援用債務については、内容証明郵便原本をお渡しし、なにかまた債権者から連絡が来た場合などのために保管するよう伝えます。
③過払い金が入金された際は、弁護士の過払い交渉分の報酬金と、裁判にかかった収入印紙や切手代の実費を清算したうえで、残金を返還します。
もともと過払い金があることが前提で、着手金など弁護士費用をもらっていない場合は、そこから精算することもありますが、最近は過払い自体少ないのでレアケースです。
以上のような最後の手続きを経て事件終了となります。
支払いが遅れた場合などは、債権者と依頼者の仲介となって連絡を取るなどアフターフォローもします。
以上が任意整理事件の実例でした。
実際どのように進めていくのか気になっていた方の参考になればと思います。
▼借金問題に専門特化した妥協なき過払い請求と極限の交渉術でおこなう債務整理
コメントを残す